びっくりして思わず「あっ・・・」と叫んだ・・・。
「あれ?どうしたんだろう、声にならない・・・。」
叫んだつもりが、声にならなかったのだ。
異次元のざわめきが外界の音を消してしまったかのように静まり返った。
すでに体内から抜け出て天井に張り付いていた。
そうこううろたえているうちに、天井に亀裂が入り、赤い布キレのような物体が裂け目から現れた。
「何だろう?」
と思う間もなく、その布は旋回しながらどんどん大きくなっていった。
恐怖が募った。「苦しい・・・」何だか、胸を締め付けられる感じがした。
そのときだ。
その布が得体の知れない物体に変身し、私をめがけて襲ってきた。
魔物だ!!
口が耳元まで裂けた魔物は、赤いマントを羽織った老婆だった。
その姿、顔に驚き入って我が目を信ずることができなかった。
老婆は斧だか鎌を振り上げて、青白い目を光らせてどんどん迫ってくる。
「これは大変だ。こんな魔物に呑み込まれたくない。」
鎌をもった老婆とのバトルが始まった。
「早く戻らなければ、殺されてしまう。」
だが、体の自由がきかないので、逃げようにも逃げられない。
自分の身体が横たわっているカウチを見下ろした。
しかし、自分の身体が、遠い存在のように思えた。
それでも、何とか身体に戻れることを念じて、力の及ぶ限りの声で「助けて~」と思いっきり叫んでみた。
「駄目だ、少しも声にならない。」
二人は相変わらず、愉快そうに大声で笑っている。
私の異変に気がついていないようだ。
焦りで恐怖はますます高まっていった。
焦れば焦るほど、自分の身体は遠ざかっていく。
再び、老婆は鎌を振り上げた。
今度こそお終まいだ。
「逃げろ!」と、どこからともなく声と鐘を鳴らすが聞こえた。
その瞬間、今度は自分の身体がパッと光った(閃光を放った)。