前回の続き
ゲートは、とても大きく、何やら古めかしかった。
「ここどこだろうね?」
三人とも車を出て、門を見に行った。
石垣に埋め込んである表札には、Guild Cemetery(ギルド霊園)とある。
ユダヤ商工会や石工ギルドの共同墓地のようだ・・・。
蔦がからまった門の周りは、うっそうとした葉の生い茂った楡や楓(メープル)で覆われている。歴史を感じさせる古めかしい造りの門である。
「なんでこんなところに停めたの?」
Mは口をとがらせて怒っていた。
私は言った。「しょうがないじゃないの。ここに連れてこられたんだから。
もしかしたら、何かの導きで被害から救ってくれたのかもしれないよ・・・」
「とにかく、スタンドでガソリン買ってきてよ」とSに頼んだ。
しばらくして赤いプラスティックのコンテナを抱えたSが戻ってきた。
少量のガソリンを入れてから、その後、ガスステーションで満タンにした。
そのとき、ここはどこなのかと尋ねて、位置を確認すると、どうやらSharon(シャロン)という町らしい。もともとこの町は、Upper Middle Class(中流階級)のユダヤの管轄区域だし、Guild(ギルド)という墓地の名前からいってもおそらくユダヤ系の墓地だろう。
思えば、最初に住んだアパートのあの老夫婦も、ユダヤ系であった。
墓地に着いたとき、これで大丈夫だと思ったあの感覚は、何者かの導きがあったのかもしれない。一体霧の中で何が起きたのだろう・・・。時空を超えてしまったのだろうか・・・。
あとでわかったのだが、95号線(ハイウェイ)から1号線(ローカル)に続く道には、T字路があり、そこで左折しなければ、墓地にたどり着けなかった。しかし、左折をした覚えがまったく記憶にないのである。ふと気づくと、ガソリンメータの残量(針)が0を、とっくに超えていた。ガソリンが減る間、同じ場所をずっと走っていたのだろうか。あるいは95号線からはとうにはずれて、ローカル道路を走っていたのか・・・。
ああでもないこうでもないと、道に迷った場所や位置などについて、それぞれの意見を交わしながら、95号線に戻った。が、何だか腑に落ちない、嫌な思いをしたので、帰りは別ルート90号線(マサチューセッツ・ターンパイク)を利用することにした。
そして、午前の7:00頃、ようやく帰途についた。周辺の珈琲ショップは何事もなかったかのように、すでに客でにぎわっていた。
END