金星 Venus

金牛宮と天秤宮の支配星

占星術における金星は、物体の運動、豊穣、唯物的な愛と平和、そして、結束と協定をシンボルとする金牛宮と天秤宮の支配星です。
この天体は和解、平和、断絶の仲裁人や物を飾り立てるレース、二つの物を結ぶリボン、モール、装飾品を司っています。
天分、遺伝を与えられた環境のなかで楽しく表現する喜び(快楽)や個人の魅力を引き出してくれます。ただし、見かけはりっぱで美しくても、世の中の役に立たなければ、金星の光・波動は上手く生かされません。
バースチャート・出生図における金星のサインやハウスからは、個々の趣向(文化・伝統など)の見返りを見いだすことができます。
とりわけナチュラル・ハウス(第二や第七ハウス)の金星は親愛に溢れたかたちであらわれますから、与えられた才能や遺伝に感謝し、最良の方法で生かす必要があります。

「愛の女神アフロダイテ」ギリシャ神話・「美と繁殖のヴェヌス」ローマ神話の様々な顔と変容

金星を人間の年齢であらわせば思春期です。ギリシャ神話に登場する、天と海の娘アフロダイテは、ギリシャ神話に登場する「愛と美・豊穣の女神」です。
この女神は海馬に乗り、大海原を駆け巡りながら、清純で貞節な女性の欲情を燃え上がらせます。そして、アフロダイテの息子エロスは、野獣を巣に集め、※眠る娘の夢に欲望の花を咲かせます。
ちなみに、アフロダイテとエロスは、怪獣テュフォンから逃れるためにユーフラテス河に飛び込み、小さな魚になったという物語があります。そのとき、お互いに迷子にならないように糸で結んだというエピソードが、二匹の魚がつながれている双魚宮のシンボルに表現されています。双魚宮の守護星海王星(ポセイドン)は、金星のオクターブ高い天体として知られています。
アフロダイテとヘルメスの娘である「ペイト」は、アフロダイテの随行者であり、結婚の神として知られています。ペイトは脳天に響く女性の甲高い声、思春期における女性ホルモンの働きそのものをあらわしています。女神ペイトに誘われると、知恵が狂気になり、狂気が知恵になると言われています。
キュプリの民の情欲を駆り立てる帯の魔力には、人間も神も抵抗できません。しかしながら、エロス(愛)とプシュケ(魂)の結婚によって魂は、真の愛を知ることになります。何故なら、娘がファイドラの情念に陥らないよう、女流詩人サフォが※音楽、舞踊の塾を開いて、金星・ヴェヌス・アフロディテを喜ばせたからです。
※金星に飼いならされると、人間は安易な生活に没頭し、怠慢になりがちなので、情操教育は不可欠ということです。
豊穣の神「アフロダイテ」(金星・ローマ神話のヴェヌス)に愛された薔薇と乳色の美青年「アドニス」は、レタスや大麦の種を蒔くと初夏の陽光を受けてすくすく育ちますが、根が無いのですぐに枯れてしまい海に捨てられる運命にあります。
これは青春がはかない夢に過ぎないことを暗示しています。ちなみに、男性の出生図における金星♀サインは、理想の女性像をあらわします。その他、ポセイドンから送られた牡牛に身を任せたミノスの妻パシファエや父に背いてイアソンと結婚して二人の子供を産んだ貞節な金星メディアの話もあります。

金星の陰

ローマ神話の愛と誘惑の女神「スアデラ」はアフロダイテ由来の女神です。このキューピッドが愛した美少女と呼ばれる存在があります。
美少女とは、高次にあるべき霊魂の化身=宇宙の偽りの生命・光をあらわします。霊魂の化身とは葡萄の果樹から作られたワインのたとえです。
「人間の血液に似たワインを多量に飲むと、我を忘れて放蕩する」と言われるように、理性を曇らせる動物的本能(ホルモン)が解放されて人間が支配されてしまうという教訓が含まれています。
まわりの環境に素早く同調する金星ですが、やるべきことを放棄して欲だけを満たす生活に明け暮れると、※フォスフォロス(ギリシャ神話)、魔王ルシファー(ローマ神話)、リリス(ヘブライ神話)に魂も愛も奪われて腐敗してしまうわけです。
※暁の明星「明けの明星」の擬人として現われる憧憬と欲情、不満と充足の神です。また、あるときは、ウラニアとなって魔力を讃えるパンデモスは伏魔殿(ふくまでん)に住むアフロダイテやヴェヌス・金星の卑俗な面です。
Lucifer lucifer cat